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松山家庭裁判所 昭和43年(少ハ)3号 決定 1968年7月05日

本人 S・Y(昭二二・一一・一〇生)

主文

本件収容継続の申請を却下する。

理由

本件申請の要旨は「S・Yは昭和四二年六月八日松山家庭裁判所において、脅迫、恐喝、傷害、暴行保護事件により特別少年院に送致する旨の決定を受け、同月一五日新光学院に入院したものであるところ、上記S・Yの犯罪的傾向は未だ矯正されていないものであつて上記S・Yは、満期退院直前の昭和四三年六月五日頃、被服不正援受(上記S・Yと入院者T・Jとの間に教官の許可を得ないで被服を交換した。)の規律違反行為があつた。よつて上記S・Yに対し懲戒処分に付したうえ、更に矯正教育を続ける必要があるので、少年院法第一一条第二項により五か月間の収容継続を申請する」というにある。

一件記録ならびに上記S・Yの審判廷における供述によれば、上記S・Yは昭和四二年六月八日松山家庭裁判所において脅迫等の非行により、特別少年院送致の決定を受け、同月一五日新光学院に入院したこと、昭和四三年六月五日頃上記S・Yと入院者T・Jとの間に被服不正援受の規律違反があつたこと、上記S・Yは該規則違反により七日間の謹慎処分を受けていること、上記S・Yは規律違反の事実を素直に認めていることがいずれも認められる。

ところで、規律違反については一般社会においても許容されない類型のもの(暴行・傷害など)と少年院など特別権力関係にもとづく特殊性から許容されない類型のもの(本件の被服交換など)があり、その反秩序的程度には、自ら差異があるものである。本件の場合の反秩序性は特別権力関係にもとづく特殊要請によるもので、特に著しいものとはいえないと考えられ悪質な規律違反と断定することはできない。

上記S・Yは本件規律違反により七日間の謹慎処分を受けていることは上記認定のとおりであり、また事実上満期たるべき日より今日まで退院延期により、すでに約一か月事実上の収容継続がなされており、その間上記S・Yには特別の問題行動はない。上記S・Yには反省の機会は十分に与えられ、一方院内の秩序も回復されているものと認められ、自戒他戒の目的は充分に達成されているものと認められる。

以上のとおりであるから、本件について五か月間の収容継続を許容するだけの合理的な根拠は乏しいものと考えられる。

よつて、本件申請は理由がないから却下することとし主文のとおり決定する。

(裁判官 田村秀作)

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